股関節唇損傷体験記 #4
股関節唇損傷の体験談
2021年 4月
病院を紹介された。これで3件目になる。
股関節唇損傷に明るい個人の病院が、たまたま隣のそのまた隣の市にあったのだ。
片道、車で50分から1時間かかるのだが。このくらいであれば通える範囲である。
慣れた手付きで受付を済ませ、名前を呼ばれるまでの時間、無音で流れるTVの字幕を眺めていた。
無音字幕のTVは、内容がまったく頭に入ってこない、次第に脳は読むのをやめ、見るのをやめ、考えるのをやめる。
半分瞑想状態。
名前を呼ばれる頃には、もう雰囲気スティーブ・ジョブズになっている。
「もし、今日が人生の最後の日だったとしたら、今日やる予定のことは本当に自分がやりたいことか?」 byジョブズ
・・・
名前を呼ばれる。
いくぞ、診察室へ!
専門医の目
可動域の様子は相変わらず良くない。途中からロックがかかってしまう感じ。
レントゲンでは、骨と骨が当たっている様子が見受けられ、骨が繰り返し当たることでできる空洞があるとのこと。ほらここに。
専門的なことは、わからないが、骨盤と大腿骨の角度を計測し、その角度も正常の数値ではないらしい。
レントゲンでそれらを指摘されたのは今回が初めてだ!?
何かが違うぞ? 直感が僕にささやいた。
CT画像では、その当たっている部分の骨が変形し、尖ってきていて、右と左の同じ場所で比べたときに明らかに違っていた。
レントゲンとCTと、触診による診断。
股関節唇損傷の体験談
結果は、大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)が原因による、股関節唇損傷。今までのリハビリの様子からも、今後の治療としては、骨の尖った部分を削り、股関節唇の損傷部分を元の位置に縛り、その後骨盤の動きを出すリハビリを行うということに。骨盤の動きが出ることで、骨と骨があたるのをかわせるのだという。
もともと、坐骨神経痛や、腰痛があったのも、こういう要因が関係していたのかもしれない。
前の病院でのMRIでは、唇損傷がはっきりと見えるわけではなかったが、前の前の病院のMRIでは傷んでいる箇所が写っていたこともあり、傷んでいる可能性は大きいだろう。 (前の病院での様子はこちら 川の流れのように をご覧ください)
将棋のような40代前半の医師の診断。医者の世界では若い世代。スポーツの世界ではベテランだ。身を置く世界でこうも変わってくる身分。
それでも、この若手ベテラン医師の診察は、今までで、一番腑に落ちる内容だった。手術までの期間は、運動療法により、股関節の周りをほぐしておくことになった。
股関節唇損傷の体験談
専門医の目によるプロフェッショナルな考察に触れながら、目の前のレントゲンを見ていると、
それらがまるで、
薄暗い空間の白い壁に飾られた、真珠の耳飾りの少女に見えてきた。
ここは何処?・・診察室?・・・あれ?美術館だったか?
歴史とオーラを、まとった、絵画を鑑賞した時のような、そんな気分を味わえる診察を受けられたことに、僕の心は、ゆっくりと震えていた。それはまるで、携帯のマナーモードみたいに、
ブルルルー、ブルルルー、
でも、今は電話に出たくない気分なんだ。
その余韻の中、もう一度その絵画、いや、レントゲンを見てみる。
じっくりと。じぃっと。
次第にうっすらと、じんわりと違う輪郭が浮かび上がる。
そう、それは紛れもない、僕のジュニアの輪郭だ。
しかも、右向け右!
うっすらと、じんわりと、それでいて、はっきりと主張している。
複雑な余韻とともに、僕は美術・・診察室を後にした。
#1 出会いの数だけ・・・ 股関節唇損傷との出会いはこちらをお読みください。